法人税・会社の経理

償却済みで簿価1円の資産、当期に償却がなければ別表16に記載しなくてよい?

ご相談の内容

会社の減価償却資産のうち、過去に償却を終えて帳簿価額が1円になっているものがあります。当期は償却費の計上もありません。このような資産も別表16(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)に記載する必要があるのか、取得価額などの合計から除いてよいのか、というご相談です。

結論
  • 当期の償却費がなく、繰越償却超過額もない簿価1円の資産は、別表16への記載は不要
  • 取得価額などの各欄からその資産を除いて作成して差し支えない
  • ただし固定資産台帳には残し、償却資産(固定資産税)の申告では対象になる

回答

別表16が必要になる場合

別表16は、減価償却資産について「償却費として損金経理をした金額がある場合」に添付が求められるものです(法人税法施行令第63条第1項)。簿価1円の資産は、すでに償却可能限度額(備忘価額1円を残すところ)まで償却を終えています(法人税法施行令第61条第1項)。当期に償却費の計上がなければ、明細書の対象になりません。

記載が必要になる例外

繰越償却超過額(過去に税務上の限度額を超えて償却し、損金にならなかった額)が残っている資産は扱いが異なります。当期に償却費を計上していなくても、その超過額のうち償却限度額に達するまでの金額は損金経理をした償却費とみなされ、損金算入(認容)できます(法人税法第31条第4項)。この場合は、認容額の計算のために別表16への記載が必要です。

資産の状態別表16
簿価1円・当期償却なし・償却超過額なし記載不要(記載しても誤りではない)
簿価1円・繰越償却超過額あり認容額の計算のため記載が必要

注意したいポイント

  • 固定資産台帳:別表16の記載は省略しても、台帳からは除かずに管理を続けてください
  • 償却資産の申告:固定資産税(償却資産)の申告では、簿価1円の資産も申告対象です
  • 記載の継続性:償却済資産を当期償却額0円として記載し続ける例もあります。記載するかしないかを毎期そろえておくと、前期との比較がしやすくなります
  • 除却・売却時:帳簿に残っている1円を除却損などとして処理します

減価償却資産の扱いは少額減価償却資産・一括償却資産と「貸付けの用」の除外もご覧ください。

まとめ

  • 当期の償却費も繰越償却超過額もない簿価1円の資産は、別表16への記載は不要
  • 繰越償却超過額が残る資産は、認容額の計算のため記載が必要
  • 固定資産台帳には残し、償却資産の申告と除却時の1円の処理を忘れない

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

償却済みの資産を別表16に書き続けるのは誤りですか?
誤りではありません。前期との継続性や台帳との突合のしやすさから、当期償却額0円として記載し続ける例もあります。どちらにするかは管理のしやすさで選び、毎期そろえておくと比較がしやすくなります。
簿価1円の資産を捨てたときはどうしますか?
帳簿に残っている1円を除却損などとして処理します。

※本記事は2026年11月4日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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