ご相談の内容
親が所有する物件を、子が経営する法人で借り上げて転貸する予定です。最初に法人の負担でリフォームを行うため、工事と入居者募集の期間を含めて、当初数か月の賃料を免除する特約を親との契約に入れたいと考えています。リフォーム費用の請求書や写真を残しておけば、同族間の取引として問題ないでしょうか。
- 請求書や写真があるだけで、賃料免除が当然に妥当と認められるわけではない
- 判断の基準は「親族関係のない第三者同士でも同じ条件で合意するか」
- 相場の資料や契約全体の条件で説明できれば、合理的な取引として扱われる余地は十分にある
回答
1. 問題になる規定
親(個人)が同族会社(家族が経営を支配する会社)に有利な条件で貸す場合、所得税法157条(同族会社等の行為又は計算の否認)により、親の所得税負担を不当に減らしていると認められると、通常の賃料を前提に課税し直される可能性があります。
ただし、工事期間や入居者募集期間に賃料を免除するフリーレントは、第三者間でも行われる慣行です。相場の範囲内であれば、不当とはいえません。
2. 残しておきたい資料
費用の証拠に加えて、次の資料を残しておくとよいと考えます。
- 周辺の同種物件やサブリース業者の例で、工事・募集期間を含めた免除期間が一般的であることを示す資料
- 工事に実際に要した期間
- 中途解約時に免除分を精算する条項など、契約全体の条件
3. リフォーム費用の扱い
| 工事部分の扱い | 税務上の見方 |
|---|---|
| 建物と一体となって親の所有物になり、契約終了時に無償で親のものになる(原状回復不要) | 法人が親の資産価値を高めたことになり、その分を親が受けた経済的利益(実質的な賃料)とみる余地がある(所得税法36条) |
| 法人が工事部分を自社の資産として計上し、減価償却する | 法人自身の事業のための投資として整理しやすい |
減価償却は、費用を年数に分けて計上することです。耐用年数は、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-1-3(他人の建物に対する造作)の考え方によります。
注意したいポイント
- みなし贈与:子が法人の株主である場合、著しく有利な条件によって株式の価値が増えると、相続税法9条によるみなし贈与(実質的に贈与があったとみなされること)が問題になることもあります
- 期間より全体の合理性:免除の期間そのものより、条件全体の合理性を書面で説明できるようにしておくことが大切です
同族間の賃料の考え方は同族会社との賃貸借と適正賃料、管理の仕組みはサブリース方式(一括借上げ)の仕組みと適正賃料、フリーレントの処理は空室対策の広告費・AD・フリーレントの処理もご覧ください。
代表の相亰と髙橋が、自らの不動産投資と資金調達支援の経験から構築した独自の財務設計の手法「クレフティメソッド」で、決算書・法人化・次の融資まで設計します。初回のご相談は無料です。
不動産投資家向け税務・融資支援を見るまとめ
- 同族間のフリーレントは、第三者同士でも同じ条件で合意するかで判断される
- 相場の資料、工事期間の記録、精算条項など契約全体の条件を書面で残す
- リフォームの帰属と計上方法も整理し、親の経済的利益やみなし贈与の問題にならないようにする
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
