ご相談の内容
自宅の一部を賃貸しており、共用の庭も賃貸借契約の対象に含まれています。その庭に合成樹脂製の人工芝と防草シートを新しく敷きました。工事では、下地をつくるために地面を掘り下げ、残土も処理しています。工事費の全額を構築物として耐用年数10年で減価償却し、賃貸部分だけを経費にする処理でよいでしょうか。
- 人工芝と防草シートを一体の構築物とし、「合成樹脂造のもの」の耐用年数10年で償却する処理は合理的と考えられる
- 掘削や残土処理も、下地づくりの付随費用として取得価額に含めて差し支えないと考えられる
- 共用庭の賃貸割合は、面積や利用実態で決めて根拠を残す
回答
1. 資産の区分
減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一では、構築物のうち「前掲のもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」の「合成樹脂造のもの」が10年とされています。人工芝と防草シートは、地面に敷設して固定する合成樹脂製の工作物(土地に定着した設備)ですので、この区分に当てはめるのが自然です。
なお、芝生や樹木を植えて緑化する「緑化施設」(耐用年数通達2-3-8の2)は生きた植物を前提とした区分のため、人工芝は通常これに当たりません。
2. 整地費用の扱い
| 工事の目的 | 扱い |
|---|---|
| 土地そのものの改良・造成 | 土地の取得価額(減価償却できない。所得税基本通達38-10参照) |
| 人工芝を敷くための掘り下げ・下地づくり | 舗装工事の路盤工事と同様に、構築物と一体の工事 |
税務調査では工事の目的を確認されることがありますので、見積書や工事内訳書を保存しておくと安心です。
3. 償却額の計算
個人の不動産所得では、届出がなければ定額法となります。耐用年数10年の定額法の償却率は0.100です。工事費60万円、1年間使用、賃貸割合50%の例では次のとおりです。
使い始めた年は、使用開始月からの月割計算です。
注意したいポイント
- 賃貸割合の根拠:共用庭は面積や利用実態などで賃貸割合を決め、その根拠を書面に残しておくことをおすすめします
- 消費税:取得価額を税込・税抜のどちらで計上するかは、消費税の課税事業者かどうか、経理方式によって変わります。賃貸が住宅用(非課税)か事務所用(課税)かも関係します
- 工事内訳:土地の造成と読める内訳にならないよう、工事の目的が分かる書類を残します
構築物の耐用年数の全体像は駐車場舗装・フェンス・外構など構築物の耐用年数、土地の工事との線引きは造成費・地盤改良費・擁壁工事は土地か建物か構築物かもご覧ください。
代表の相亰と髙橋が、自らの不動産投資と資金調達支援の経験から構築した独自の財務設計の手法「クレフティメソッド」で、決算書・法人化・次の融資まで設計します。初回のご相談は無料です。
不動産投資家向け税務・融資支援を見るまとめ
- 人工芝と防草シートは一体の構築物として、合成樹脂造のもの10年で償却する処理が合理的
- 下地づくりのための掘削や残土処理は取得価額に含めて差し支えなく、見積書や内訳書を保存する
- 償却額は賃貸割合で按分し、割合の根拠を書面に残す
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
