ご相談の内容
経費の立替を請求する際の、適格請求書(インボイス)の写しの社内運用を整理しています。写しが大量になって交付が困難な場合は省略できると理解していますが、何枚から「大量」と考えればよいのでしょうか。社内で「○枚以上」のような基準を設けてもよいでしょうか。
- 写しの省略が認められる枚数の具体的な基準はない
- 判断の軸は枚数そのものではなく、写しの作成・交付が事務負担の面で困難かどうかという実態
- 社内で目安を設けることは差し支えないが、基準を設けた理由を記録しておく
回答
1. 省略が認められる場合の整理
消費税法基本通達11-6-2と、国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の立替金の問94では、写しが大量になる等の事情で交付が困難な場合の取扱いが示されています。
この場合は、立替払をした者(実際に代金を払った側)が適格請求書を保存し、立替を受けた側は立替金精算書等の交付を受けて保存すれば足ります。ただし、立替を受けた側で、仕入先が適格請求書発行事業者(登録事業者)であることを確認できるようにしておく必要があります。
「大量となる等」とあるため、枚数だけでなく、件数・頻度・複数者への按分の有無なども考慮要素になると解されます。同じ枚数でも、毎月繰り返し発生する立替と、たまにしか発生しない立替とでは、事務負担の見え方が異なります。
2. 枚数ごとの考え方
| 場面 | 考え方 |
|---|---|
| 1枚〜数枚程度 | 写しの作成に大きな負担はないのが通常で、「交付が困難」とは言いにくい。原則どおり写しを交付する運用が無難 |
| まとまった枚数、継続的・反復的な立替 | 事務負担が実際に生じる場面に限定して省略するのが、通達の趣旨に沿う |
| 社内で「○枚以上」と目安を設定 | 設けること自体は差し支えないが、税務上の安全基準として公に認められたものではない |
注意したいポイント
省略する場合は、次の点を運用ルールに含めておくと安心です。
- 立替払をした者が、適格請求書を保存期間(原則7年間)にわたり保存すること
- 立替金精算書等に、仕入税額控除に必要な事項と登録番号が記載されていること
- 基準を設けた理由(処理件数や作業時間などの実態)を記録しておくこと
紙ではなく電子データで受領した適格請求書は、写しの作成が容易なことが多いため、紙と電子で運用を分けて検討するのもよいと思います。
インボイスの実務については領収書がない支出は経費になる?、立替の場面の例として会社負担の予防接種代、個人名の領収書・登録番号なしで経費精算してよい?もご覧ください。
まとめ
- 写しの省略に枚数の基準はなく、事務負担の面で交付が困難かどうかの実態で判断する
- 数枚程度なら写しを交付し、省略はまとまった枚数や反復的な立替に限定するのが無難
- 社内の目安は作ってよいが、理由を記録し、精算書の記載事項と登録番号の確認をルールに含める
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
