消費税・インボイス

補助金で農業機械を買ったら、仕入税額控除は補助金分を差し引く?

ご相談の内容

自治体の新規就農者向け補助金(購入費の3割補助)を使って、農業機械を購入したという方からのご相談です。たとえば機械代が税込880万円(うち消費税80万円)、補助金が240万円の場合、本則課税で消費税を計算するときに「80万円−24万円(補助金の割合分)=56万円」を仕入税額控除の額とするのか、を知りたいという内容でした。

結論
  • 補助金分を差し引く必要はない。機械代に含まれる消費税の全額が仕入税額控除の対象
  • 補助金は不課税。控除額を減らす「特定収入」の特例は、個人の農業者や一般の法人には適用されない
  • インボイスの保存、調整対象固定資産、課税事業者選択の届出状況には注意する

回答

補助金は消費税の「不課税」

仕入税額控除とは、売上にかかる消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引く仕組みです。

補助金は、国や自治体から何かの対価として受け取るものではないため、消費税の課税対象外(不課税)です(消費税法基本通達5-2-15)。また、補助金を財源にして資産を購入した場合でも、その購入が課税仕入れであれば仕入税額控除の対象となります(消費税法基本通達11-2-8)。

「特定収入」の特例は個人の農業者には適用されない

国・地方公共団体・公益法人等には、補助金などの特定収入で賄った仕入れの控除額を減らす特例(消費税法第60条第4項)があります。しかし、個人の農業者や一般の法人には適用されません。

項目考え方
機械代に含まれる消費税80万円(例)
補助金分の差し引き不要
仕入税額控除の対象80万円の全額

注意したいポイント

1.控除額の計算方法

課税売上割合(売上全体に占める課税売上の割合)が95%未満の場合、または課税売上高が5億円を超える場合は、全額を控除できず、個別対応方式または一括比例配分方式で計算します。

2.インボイスの保存

仕入税額控除を受けるには、販売店から受け取った適格請求書(インボイス)等の保存が必要です。

3.調整対象固定資産

1台の税抜価額が100万円以上の機械は「調整対象固定資産」に当たります。取得後3年間に課税売上割合が大きく変動した場合、控除額の調整が必要になることがあります。

4.課税事業者を選択している場合

「消費税課税事業者選択届出書」を出して課税事業者となった最初の2年間に今回の機械を取得したのであれば、一定期間(原則として3年間)は免税事業者に戻ることや簡易課税を選ぶことができなくなります。今後の申告方法に影響するため、届出の状況を確認しましょう。

所得税は別の論点

所得税の計算では、補助金は収入として扱う一方、国庫補助金等の総収入金額不算入(所得税法第42条)により、機械の取得価額を補助金分だけ減らす処理を選べる場合があります。消費税とは別の論点として、あわせて検討しましょう。

農業の経費処理についてはぬかるんだ田んぼに砂を入れた費用は経費になる?仕訳と勘定科目は?、補助金の種類や使い方は創業時に使える補助金・助成金の種類でも解説しています。

まとめ

  • 補助金は不課税。補助金で買った機械でも、消費税の全額が仕入税額控除の対象
  • 控除額を減らす特定収入の特例は、国・自治体・公益法人等向けで、個人の農業者には適用されない
  • インボイスの保存、調整対象固定資産、課税事業者選択の3年縛り、所得税の圧縮処理もあわせて確認する

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

補助金は消費税の課税対象になりますか?
なりません。補助金は国や自治体から何かの対価として受け取るものではないため、消費税の課税対象外(不課税)です(消費税法基本通達5-2-15)。補助金を財源に資産を買った場合でも、その購入が課税仕入れであれば仕入税額控除の対象になります(同通達11-2-8)。
補助金で買った機械は、所得税ではどう扱いますか?
所得税では補助金は収入として扱う一方、国庫補助金等の総収入金額不算入(所得税法第42条)により、機械の取得価額を補助金分だけ減らす処理を選べる場合があります。消費税とは別の論点として検討が必要です。

※本記事は2026年10月20日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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