減価償却・設備

賃貸物件の設備をリースで導入したら|所有権移転外リースの税務(法人・個人)・会計処理・消費税と、借入金との銀行の見え方

賃貸物件のエアコン、給湯器、防犯カメラ、インターホン、宅配ボックス、無料インターネットの機器などを、購入ではなくリースで導入するケースがあります。初期の支出を抑えられ、月々の定額払いで済むため、物件の取得直後や大規模修繕の時期に検討されることが多い方法です。

ところが、リースは「借りているのだから家賃と同じで、払った分が経費」と単純にはいきません。税務上は多くのリース取引が売買とみなされ、会計上は会社の規模によって処理が分かれ、消費税は控除の時期を選ぶ論点があります。そして銀行は、決算書に載っていないリースも含めて返済負担を見ています。この記事では、賃貸物件の設備リースについて、税務上の扱い(法人と個人の違い)、企業会計上の扱い、銀行からの見え方を整理します。

この記事の結論
  • 中途解約できず、設備の代金と費用をほぼ全額リース料で払う「ファイナンス・リース」のうち、所有権が移らない所有権移転外リース取引は、税務上は売買とみなされ、リース期間定額法で償却する(法人税法64条の2、所得税法67条の2)
  • 中小企業が会計上賃貸借処理(リース料を費用処理)しても、法人税ではそのリース料が償却費として損金経理した額とみなされる。均等払いなら損金の額はほぼ同じ
  • 消費税は、引渡し時に一括控除が原則。賃貸借処理をしている場合は、支払時ごとの分割控除も認められる
  • 会計上の扱いは会社の規模で分かれる。上場会社などには新リース会計基準(2027年4月1日以後開始する事業年度から適用)が及ぶが、中小企業は中小企業の会計に関する指針・要領に沿って賃貸借処理を続けられる
  • 銀行は、貸借対照表に出ない未経過リース料も返済負担として見ることがある。リースは「借入れの代わり」であって、負債がなくなるわけではない

賃貸物件で設備をリースにする場面

不動産オーナーが設備をリースにする主な理由は、次の3つです。

  • 初期の支出を抑えたい:物件の取得直後は、諸費用と自己資金で手元資金が薄くなりがち
  • 融資の枠を物件取得に残したい:設備のために銀行借入を増やしたくない
  • 保守とセットで契約できる:メンテナンス付きのリースなら、故障対応の窓口が一本になる

一方で、リースと似ていても法的な性格が違う契約もあります。たとえば、給湯器やインターネット設備の「レンタル」「サービス利用契約」で、中途解約ができたり、業者が設備を所有したまま利用料を受け取ったりする形のものです。これらは、以下で説明するファイナンス・リースに当たらないことが多く、原則として利用料を期間の費用として処理します。契約書の名前ではなく、中身(中途解約できるか、誰が設備の費用を実質的に負担しているか)で判断するのが出発点です。インターネット設備の契約形態の違いは無料インターネット設備の処理でも解説しています。

税務上の扱い|所有権移転外リースは「売買」とみなされる

どんなリースが「リース取引」になるか

法人税法・所得税法では、次の2つを満たす資産の賃貸借をリース取引とし、リース資産の引渡しの時に、賃借人がその資産を買ったものとみなします(法人税法64条の2、所得税法67条の2)。

  1. 契約期間の中途で解除できない(またはこれに準ずる)こと
  2. 賃借人が、その資産から得られる経済的な利益を実質的に享受し、使用に伴う費用を実質的に負担すること(いわゆるフルペイアウト)

そのうえで、契約終了時に所有権が移る、割安で買い取る権利がある、賃借人専用の特別仕様である、といった事情がないものが所有権移転外リース取引です。賃貸物件の設備リースの多くはこちらに当たります。

リース期間定額法で償却する

所有権移転外リース取引で取得したとみなされる資産は、リース期間定額法で償却します。取得価額を、リース期間の月数で均等に費用化するイメージです。

  • 取得価額は、原則としてリース料の総額。利息に相当する部分を合理的に区分できる場合は、それを除いた金額にすることもできる(法人税基本通達7-6の2-9)
  • 現行の計算では、取得価額から残価保証額を控除して償却する。令和7年度の税制改正で、令和9年4月1日以後に締結する所有権移転外リース取引からは、残価保証額を控除せず、リース期間で1円(備忘価額)まで償却する形に改められた

賃貸借処理をした場合の法人税

中小企業の多くは、会計上、リース料を「支払リース料」「賃借料」として費用処理しています(賃貸借処理)。この場合、法人税では、賃借料として損金経理した金額は、償却費として損金経理した金額に含まれるとされています(法人税法施行令131条の2第3項)。リース料が毎月均等で、リース期間で償却する額と大きな差がなければ、賃貸借処理のままでも損金の額は実質的に変わりません。

注意したいのは、頭金や一括の前払いがある契約です。前払い分を払った期に全額費用にすると、リース期間定額法の償却限度額を超え、超過額は損金になりません。契約の支払条件を見て、期間に応じて費用化しているかを確認してください。

少額資産の特例は使えるか

取得価額10万円未満の少額減価償却資産の即時損金算入や、20万円未満の一括償却資産の3年償却は、リース期間定額法で償却するリース資産には使えません。中小企業者等の30万円未満の少額減価償却資産の特例については、国税庁の質疑応答事例で、売買とされるリース資産も対象になり得るとされていますが、損金経理の要件や、主要な事業でない貸付けの用に供する資産の除外などの要件があります。賃貸用の資産の除外の考え方は賃貸物件の少額減価償却資産を参照し、適用の可否は税理士と確認してください。

法人と個人の違い

項目法人個人(不動産所得)
根拠法人税法64条の2所得税法67条の2
税務上の性格所有権移転外リースは売買とみなす同じく売買とみなす
償却方法リース期間定額法リース期間定額法
賃貸借処理との関係賃借料として損金経理した額は償却費とみなされる(法人税法施行令131条の2第3項)損金経理の要件がないため、帳簿上の処理と償却費の計算を税理士と確認
消費税一括控除が原則。賃貸借処理なら分割控除も可同じ(課税事業者の場合)
住宅部分の設備住宅の貸付けは消費税が非課税のため、課税売上割合や個別対応方式の区分に影響同じ

個人の場合も「売買」とみなされる点は同じですが、法人のような損金経理の規定がないため、リース料をそのまま必要経費にしている場合の扱いは、契約内容に照らして確認が必要です。

消費税|一括控除か分割控除か

所有権移転外リース取引は、消費税法上もリース資産の譲渡(売買)として扱われます。そのため、賃借人は原則として、リース資産の引渡しを受けた課税期間に、リース料総額に係る消費税をまとめて仕入税額控除します(一括控除)。

ただし、国税庁の質疑応答事例では、賃借人が会計上賃貸借処理をしている場合に、リース料を支払うべき日の属する課税期間ごとに控除する(分割控除)ことも差し支えないとしています。令和7年度の税制改正で賃貸人側の延払基準の特例が廃止された後も、賃借人が会計上賃貸借処理できる場合は分割控除を続けてよいとされています(国税庁 質疑応答事例「所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い」)。

同じ質疑応答事例では、1年目は支払分だけを控除し、2年目に残りをまとめて控除するといった、控除の時期を都合よく変える処理は認められないことも示されています。

不動産賃貸業では、住宅の家賃が非課税のため、設備の消費税をどこまで控除できるかは課税売上割合と個別対応方式・一括比例配分方式の選択によります(個別対応方式と一括比例配分方式)。居住用の物件に付けた設備の消費税は、多くの場合控除できません。税込経理と税抜経理のどちらで記帳しているかでも、取得価額や費用の額が変わります(税込経理と税抜経理)。

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代表の相亰と髙橋が、自らの不動産投資と資金調達支援の経験から構築した独自の財務設計の手法「クレフティメソッド」で、決算書・法人化・次の融資まで設計します。初回のご相談は無料です。

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会計上の扱い|GAAPでは会社の規模で処理が分かれる

決算書の作り方は、一般に公正妥当と認められる会計基準(GAAP:Generally Accepted Accounting Principles)に従います。会社法431条は会社の会計は「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うとし、法人税法22条4項も「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」を前提にしています。リースについては、会社の規模で次のように分かれます。

会社の区分会計処理決算書での見え方
上場会社・会社法の大会社など現行のリース会計基準では、ファイナンス・リースは売買処理。新しい「リースに関する会計基準」(企業会計基準第34号)は2027年4月1日以後開始する事業年度から適用され、借手はオペレーティング・リースも含めて原則として資産・負債に計上する使用権資産(リース資産)とリース負債が貸借対照表に載る
中小企業(中小企業の会計に関する指針・要領を採用)所有権移転外ファイナンス・リースは、賃貸借処理を認める。その場合、未経過リース料を注記するリース料が費用に計上され、負債は貸借対照表に出ない

ポイントは、税務上の処理と会計上の表示は別物だということです。税務では売買とみなされても、中小企業が賃貸借処理をして決算書にリース資産を載せないことは、GAAPの範囲内で認められています。逆に、上場会社の子会社や、株式上場を目指す会社は、親会社や監査法人の方針で売買処理(資産計上)を求められることがあります。どちらの処理を採るかは、会社の状況に合わせて税理士・会計の専門家と決めてください。税務と会計の違いそのものは税務上の損金と企業会計(GAAP)の違いで解説しています。

売買処理をした場合、リース債務のうち1年以内に支払う部分は流動負債になり、流動比率に影響します。著書でお伝えしている「資産は上に、負債は下に」は、こうした表示区分を意識することですが、どの区分に表示できるかは取引の実態と会計基準で決まります。都合よく区分を動かすことはできません(「資産は上に、負債は下に」の考え方)。

銀行からの見え方|リースは「見えにくい借入れ」

債務償還年数と未経過リース料

銀行が返済能力を見る代表的な指標が債務償還年数です。著書のモデルでは、債務償還年数=(借入金−現預金)÷(経常利益+減価償却費−法人税等)で計算し、10年以内を健全の目安としています。

中小企業が賃貸借処理をしていると、リース債務は貸借対照表の借入金に含まれません。しかし、リースは中途解約できず、残りの期間のリース料を払う義務があるという点で、借入金とよく似た負債です。そのため、注記やリース契約の一覧から未経過リース料を把握し、実質的な有利子負債に加えて評価する金融機関もあります。

処理損益計算書貸借対照表銀行の見方の例
銀行借入で購入減価償却費+支払利息設備(資産)と借入金(負債)借入金に含めて債務償還年数を計算。減価償却費は償却前利益に足し戻す
リース・売買処理減価償却費+支払利息リース資産とリース債務リース債務を有利子負債に含めて見ることがある
リース・賃貸借処理支払リース料(費用)載らない(注記)未経過リース料を実質的な負債として加味することがある。リース料は償却前利益を押し下げる

賃貸借処理の場合、リース料は減価償却費ではなく費用として計上されるため、銀行が見る償却前利益(経常利益+減価償却費)は、購入した場合より小さく見えます。一方で、負債も少なく見えます。どちらが有利かは一概にいえず、銀行は「見えていない負債がないか」を必ず確認すると考えておくのが安全です。減価償却費と償却前利益の関係は減価償却と銀行の見るキャッシュフローで解説しています。

リースと借入れのコストを比べる

リース料には、設備の代金のほか、金利相当額、固定資産税や保険料、リース会社の手数料などが含まれます。銀行の融資枠に余裕があるなら、設備資金として借り入れて購入したほうが、総支払額が少なくなることもあります。物件の取得のために融資枠を残したい、という目的がはっきりしている場合にリースを選ぶ、という整理が実務的です。

物件を売却するときの注意

リースで導入した設備が付いた物件を売却する場合、リース契約を買主に引き継げるか、リース会社の承諾が必要か、残りのリース料を一括で払って解約するか(規定損害金)を、売買契約の前に確認しておく必要があります。売却の段取りに組み込んでおかないと、決済直前に想定外の支出が発生します。

判例・裁決事例について

本記事の執筆時点で、賃貸物件の設備リースの処理そのものを主な争点とした公表裁決事例は確認できなかったため、具体的な事件は取り上げていません。制度の根拠は、上で示した法令と国税庁の質疑応答事例です。

実務のチェックポイント

  • 契約書で、中途解約の可否、所有権移転の条項、割安購入選択権、特別仕様かを確認し、所有権移転外リース取引に当たるかを判断する
  • 「レンタル」「サービス利用契約」でも、中身がファイナンス・リースなら売買として扱う
  • 会計処理(売買処理か賃貸借処理か)を決め、継続して適用する。賃貸借処理なら未経過リース料の注記を忘れない
  • 頭金・一括前払いがある契約は、リース期間で按分して費用化する
  • 消費税は一括控除か分割控除かを決め、途中で変えない。住宅部分の設備は課税売上割合の影響を確認する
  • 物件ごと・設備ごとに、リース期間、月額、残りの支払額を一覧表にしておく(銀行への説明資料にもなる)
  • 借入れで購入した場合との総支払額を比べ、融資枠の使い方と合わせて判断する
  • 物件の売却時は、リース契約の承継・解約の段取りを先に確認する

設備の種類ごとの区分や耐用年数は、給湯器・エアコンなど設備交換の処理、防犯カメラ・オートロック・宅配ボックスの処理もあわせてご覧ください。

まとめ

  • 賃貸物件の設備リースの多くは所有権移転外リース取引で、税務上は売買とみなされ、リース期間定額法で償却する
  • 中小企業の賃貸借処理は会計上認められ、法人税ではリース料が償却費とみなされる。前払いがある契約は按分に注意
  • 消費税は一括控除が原則、賃貸借処理なら分割控除も可。選んだ方法は継続する
  • 新リース会計基準は2027年4月1日以後開始する事業年度から上場会社などに適用。中小企業は指針・要領に沿った処理を続けられる
  • 銀行は未経過リース料も負債として見ることがある。リースは借入れの代わりであり、負債が消えるわけではない

クレフティには、公認会計士・税理士のパートナー2名と、元地方銀行員の資金調達部長が在籍し、設備の調達方法の比較から、決算書の表示、金融機関への説明資料づくりまでを一貫してご支援しています。初回のご相談は無料です。詳しくは不動産投資家向けサービスのページをご覧ください。資金繰り全体の見通しは資金繰り表の作り方も参考にしてください。

よくある質問

賃貸物件の設備をリースにすると、リース料はそのまま経費になりますか?
法人の場合、所有権移転外リース取引は税務上は売買とみなされ、リース資産をリース期間定額法で償却するのが原則です。ただし、中小企業が会計上リース料を賃借料として処理(賃貸借処理)しても、その金額は償却費として損金経理したものとして扱われるため(法人税法施行令131条の2第3項)、リース料が毎月均等であれば、結果として損金の額はほぼ同じになります。前払いや一括払いがある契約は、償却限度額との差に注意が必要です。
リースで導入した設備の消費税は、いつ控除できますか?
所有権移転外リース取引は消費税法上も資産の譲渡とされるため、原則はリース資産の引渡しを受けた課税期間に、リース料総額に係る消費税をまとめて控除します。ただし、賃借人が会計上賃貸借処理をしている場合は、リース料を支払うべき日の属する課税期間ごとに控除する分割控除も認められています(国税庁の質疑応答事例)。一度選んだ方法を途中で都合よく変えることはできません。
リースにすれば借入金が増えないので、銀行の評価は上がりますか?
単純には上がりません。中小企業が賃貸借処理をすれば貸借対照表にリース債務は載りませんが、注記や契約一覧から未経過リース料を把握し、実質的な有利子負債に含めて債務償還年数などを計算する金融機関もあります。また、リース料には金利相当額が含まれるため、銀行借入より総支払額が多くなることがあります。資金繰りと調達コストの両面で比較してください。

※本記事は2026年11月8日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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