取得・建築

神戸・三宮の大型再開発と、分譲マンションへの「空室税」の検討|住んでいない投資用マンションに課税?不動産投資家が知っておきたいこと

日本経済新聞(2026年10月28日朝刊、神戸経済特集)が、神戸・三宮で進む大型再開発と、神戸市が検討している分譲マンションへの「空室税」を報じました。阪神・淡路大震災以降では異例の規模の再開発で、JR三ノ宮駅の新しい駅ビル、ツインタワー、市役所の新庁舎の3棟の建設が進んでいます。一方で市は、中心部の分譲マンションのうち、居住実態のない住戸への課税を検討しています。成立すれば、分譲マンションを対象とするものとしては全国初になるとされています。

再開発で街の価値が高まる一方、投資目的で持つマンションには新しい税がかかるかもしれない。この記事では、報道の内容を整理し、不動産投資家が今から考えておくことを解説します。

この記事の結論
  • 三宮では、JR三ノ宮駅の新駅ビル(地上30階、2029年度開業予定)、ツインタワー「神戸三宮TWINGATE」の1棟目(地上32階、2027年末完成予定)、市役所本庁舎2号館(地上29階、2029年9月完成見込み)の建設が進む(日本経済新聞)
  • 神戸市は、三宮を中心とする都心機能誘導地区の分譲マンションのうち、居住実態のない住戸に課税する「空室税」の条例化を検討。住民票の有無を基本に判断し、納税義務は所有者が負う考え方
  • まだ検討段階で、条例の実現には市議会の承認と総務大臣の同意が必要。税率や開始時期は示されていない
  • 投資用マンションを持つ人は、空室のまま持つリスクが増えうることを前提に、賃貸に出す・売る・持ち続けるの判断材料をそろえておきたい

報道で示された内容

三宮の再開発

施設規模予定主な内容
JR三ノ宮駅の新駅ビル(JR西日本)地上30階、延べ床面積約9万1,500平方メートル2029年度開業予定2024年から建設中
神戸三宮TWINGATE(ツインタワーの1棟目)地上32階、延べ床面積約9万9,000平方メートル2027年末完成予定市などでつくる企業が事業主体。低層階に市立図書館や文化ホール
市役所本庁舎2号館地上29階、延べ床面積7万7,000平方メートル2029年9月完成見込み上層階に高級ホテル「コンラッド神戸」

3棟の完成で新たに生まれる業務フロアは合計約3万8,000平方メートル、おおむね3,000〜4,000人を収容できる規模とみられ、ポートアイランドから本社を移す企業も出ています。一方で、移転元の空洞化や、三宮以外のエリアの衰退をどう防ぐかが課題とされています。

分譲マンションへの「空室税」

項目報道で示された内容
検討の状況市の「居住と税制のあり方に関する検討会」が2026年7月に答申。市は条例化を検討し、議会への説明を始めている
対象三宮を中心とする「都心機能誘導地区」の分譲マンション
判定住民票の有無を基本に、納税実績などから非居住かどうかを判断
納税義務者物件の所有者
対象を広げた理由当初はタワーマンションを想定していたが、一般のマンションでも非居住の割合が同じ水準だったため、分譲マンション全体を対象に
実現の条件市議会の承認と総務大臣の同意
背景市は2020年の条例改正で、都心機能誘導地区でのタワーマンションの新設を事実上禁止。地区内にはすでに20棟ほどのタワーマンションがあり、住民登録のない投資目的とみられる住戸も多い

出典:日本経済新聞「神戸・三宮が大変貌中 ツインタワーや駅ビル再開発、回遊性高める」「中心部マンションに『空室税』 空洞化防止、住戸の適正利用へ」ほか(2026年10月28日朝刊、神戸経済特集)。

市長はインタビューで、商業・業務機能と居住機能を調和させるため、投資目的の空室を居住空間として生かす手段として空室税が有効だという検討会の考えを示し、議会の承認を得て実現したいと述べています。

空室税は「法定外税」

ここからは、税理士・公認会計士として、また自らも不動産投資を続けてきた立場からの考えです。

固定資産税などの地方税法に定めのある税とは別に、自治体は条例で独自の税(法定外税)を設けることができます。新しく設ける場合は、総務大臣と協議して同意を得る必要があります。報道で「総務大臣の同意が要る」とされているのは、このためです。

法定外税の中身(税率、対象、非課税となる場合、開始時期)は、条例で決まります。神戸市の空室税も、条例案が示されるまでは、次のような点はまだ分かりません。

未確定の点投資家にとっての意味
税率・税額の決め方物件の評価額に連動するのか、面積や戸数なのか。保有コストへの影響の大きさが決まる
「非居住」の判定方法住民票の有無が基本とされるが、賃貸中で入居者が住民登録をしていない場合や、短期の空室期間の扱い
非課税・軽減の範囲売却や賃貸に向けて募集中の住戸、相続直後の住戸などの扱い
開始時期・経過措置準備期間がどのくらいあるか

投資用マンションを持つ人が考えておきたいこと

空室のまま持つコストが上がりうる

これまで、都心のマンションを「住まずに、貸さずに、値上がりを待つ」という持ち方をしていた人にとって、空室税は保有コストを直接押し上げる可能性があります。空室税の目的が「住んでいない住戸を居住に使ってもらうこと」である以上、賃貸に出して入居者が住民登録をしている住戸と、空室のままの住戸とで扱いが分かれる可能性が高いと考えられます。

再開発は資産価値の追い風にもなる

一方で、三宮の再開発は、業務・商業の集積と回遊性の向上によって、中心部の住宅需要を支える要因にもなります。市は2020年から都心機能誘導地区でのタワーマンションの新設を事実上禁止しており、既存の物件の希少性が高まる面もあります。空室税の行方と再開発の効果の両方を見て、持ち方を判断することが大切です。

判断の材料をそろえておく

選択肢考えておくこと
賃貸に出す賃料の水準、管理の手間、入居者の住民登録の扱い、賃貸に出した場合の所得税・住民税
売却する所有期間(売った年の1月1日時点で5年超かどうか)による税率の違い(不動産売却の税金)、再開発の完成前後の価格の見通し
自分や家族が住む住民票を移す場合の住宅ローン控除や、相続税の評価への影響
空室のまま持ち続ける空室税が導入された場合の保有コスト、固定資産税・管理費・修繕積立金との合計

なお、自治体の独自課税の議論は、短期売買への課税強化や外国人の不動産取得への対応など、住宅価格の高騰を背景とした国の議論とも重なります(マンション高騰の抑制策、短期売買への課税強化を自民党が検討)。タワーマンションの相続税評価をめぐる最高裁判決の流れも含め、「投資目的の住宅」に向ける目が厳しくなっていることは意識しておきたいところです(タワーマンションの相続税評価と最高裁判決)。

不動産投資の税務と融資、まとめて相談できます

代表の相亰と髙橋が、自らの不動産投資と資金調達支援の経験から構築した独自の財務設計の手法「クレフティメソッド」で、決算書・法人化・次の融資まで設計します。初回のご相談は無料です。

不動産投資家向け税務・融資支援を見る

今後も注意して見ていきたいこと

  • 条例案の内容:税率、非居住の判定方法、非課税・軽減の範囲、開始時期
  • 市議会と総務大臣の同意:条例が成立し、総務大臣の同意が得られるか
  • 他の自治体への広がり:都心部の空室や投資目的の住戸への課税が、他の都市でも検討されるか
  • 三宮の再開発の完成:2027年末のツインタワー1棟目、2029年の駅ビル・新庁舎の完成と、オフィス・住宅需要の変化

まとめ

  • 三宮では駅ビル・ツインタワー・市役所新庁舎の3棟の建設が進み、2027〜2029年にかけて完成する
  • 神戸市は、都心機能誘導地区の分譲マンションのうち、居住実態のない住戸に課税する「空室税」の条例化を検討している
  • まだ検討段階で、税率や開始時期は未定。実現には市議会の承認と総務大臣の同意が必要
  • 投資用マンションを持つ人は、空室のまま持つコストが上がりうることを前提に、賃貸・売却・保有の判断材料をそろえておきたい

神戸などの都心部にマンションを持っていて、持ち方や売却の時期を一度確認したい方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

神戸市の空室税は、もう導入されたのですか?
導入されていません。報道によれば、市の検討会が2026年7月に答申を出し、市は条例化を検討して議会への説明を始めた段階です。条例の実現には市議会の承認と総務大臣の同意が必要で、税率や開始時期などはまだ示されていません。
どのようなマンションが対象になりそうですか?
報道によれば、三宮を中心とする「都心機能誘導地区」の分譲マンションのうち、居住実態のない住戸が想定されています。当初はタワーマンションを想定していましたが、一般のマンションでも住んでいない住戸の割合が同じ水準だったため、分譲マンション全体を対象にする考え方がまとめられました。住んでいるかどうかは住民票の有無を基本に、納税実績などから判断し、納税義務は所有者が負うとされています。
賃貸に出している投資用マンションも対象になりますか?
詳細はまだ決まっていません。空室税の目的は、住んでいない住戸を居住に使ってもらうことにあり、報道では住民票の有無を基本に判断するとされています。賃借人が住民登録をして住んでいる住戸と、空室のまま持っている住戸とで扱いが分かれる可能性があります。条例案が示された段階で、対象と判定の方法を確認してください。

※本記事は2026年10月28日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

RELATED

あわせて読みたい

取得・建築

50年住宅ローン、金利上昇で利息が1,000万円以上増えるケースも|金融庁が監視へ。毎月の返済の軽さと、残る借金の重さ

返済期間が35年を超える超長期の住宅ローンの利用が広がるなか、金融庁が監視の方針を示し、金利上昇で利息が1,000万円以上増える試算も報じられました。報道の試算を整理し、35年と50年の違い、定年時の残債とオーバーローンのリスク、借りる前と借りた後の備えを税理士・公認会計士が解説します。

2026年10月24日
取得・建築

長期金利の低下で不動産株が逆行高|「長期金利」と「短期金利」は別の動き。不動産投資家が借入と物件価格で読み取るべきこと

AI・半導体株が売られるなか、国内の長期金利が約3か月ぶりの低水準に下がり、不動産株が業種別で最も上昇したと報じられました。一方で、日銀の追加利上げは引き続き予想されています。長期金利と短期金利の違い、それぞれが不動産投資の借入と物件価格にどう効くかを税理士・公認会計士が解説します。

2026年10月24日
取得・建築

首都圏の新築マンション、上期平均が初の1億円超|金利上昇で買える人が減るなか、価格・中古・賃料・融資はこれからどうなるか

首都圏の新築マンションの4〜9月の平均価格が1億1,494万円と、年度上期で初めて1億円を超えました。一方で販売の「苦戦」が増え、住宅ローンの審査金利も上がっています。報道のデータを整理したうえで、価格・中古市場・賃料・投資用の融資がこれからどう動きうるかを、シナリオ別に税理士・公認会計士が考えます。

2026年10月20日
FREE CONSULTATION

決算書と融資のこと、
まずはお気軽にご相談ください。

初回のご相談は無料です。まずは担当者がお話を伺い、内容に応じて担当税理士や金融機関出身のコンサルタントがご提案します。