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東京都の募集家賃は前年比7.6%上昇、内閣府が新指標|消費者物価の家賃(1.5〜1.7%)との差は何を意味するか。賃貸経営の賃料見直しと融資への生かし方

日本経済新聞(2026年11月3日朝刊)が、内閣府が募集家賃の実勢がわかる新しい指数を開発したと報じました。不動産情報サイト「SUUMO」の家賃データをもとに、東京都内で入居者を募集している賃貸住宅の家賃を、駅からの距離や築年数などの条件をそろえて比べるものです。

2026年4〜6月期の東京都の募集家賃は、前年同期比7.6%の上昇。一方、同じ時期の都区部の消費者物価の民営家賃は1.5〜1.7%の上昇にとどまっています。この記事では、2つの数字の差が何を意味するのかと、賃貸オーナーの経営にどう生かせるかを考えます。

この記事の結論
  • 内閣府の募集家賃指数で、2026年4〜6月期の東京都は前年同期比7.6%上昇、指数は128.8(2016年1〜3月期=100)。都区部を中心に高い伸びが続く(内閣府)
  • 同じ時期の都区部の消費者物価の民営家賃は1.5〜1.7%の上昇。既存の入居者の家賃は、募集家賃より遅れて動く
  • 募集家賃の動きから、民営家賃は2030年に前年比2.7%の上昇が見込まれるという分析もある(日本経済新聞)
  • 賃貸オーナーにとっては、入れ替えのときの賃料の見直しと、更新時の相談の根拠になる。銀行には、実績の賃料と空室の試算をセットで示したい

報道と公表資料で示された内容

項目内容
新しい指数入居者を募集中の賃貸住宅が対象。SUUMOの家賃データを、駅からの距離・築年数・間取り・階数などの条件で調整して算出
公表2026年1〜3月期分から四半期ごとに公表。内閣府のリポート「今週の指標」で随時発信。7〜9月期分は11月中にも
最新の数字2026年4〜6月期の東京都は前年同期比7.6%上昇、指数128.8。伸び率は都区部で横ばい、市町村部で上昇
間取り別シングル向けは都区部でやや上昇。ファミリー向けは都区部でやや低下(伸び率の変化)
消費者物価との差同じ時期の都区部の消費者物価の民営家賃は前年同月比1.5〜1.7%の上昇
先行性募集家賃の指数は、消費者物価の民営家賃に先行して動く。分析では民営家賃は2030年に前年比2.7%の上昇が見込まれる
これまでの差2016年1月から2025年4月までの9年間で、募集家賃は累計2割弱上昇、消費者物価の民営家賃は2%の上昇(経済財政白書)

出典:日本経済新聞「都内の実勢家賃、内閣府が新指標開発」(2026年11月3日朝刊)、内閣府「今週の指標 No.1422 2026年第2四半期の家賃動向」(2026年8月20日)。

なぜ2つの数字に差が出るのか

同じ東京の家賃でも、見ているものが違う
募集家賃(内閣府の新指数)
いま募集中の部屋新しい相場がすぐ出る
東京都 前年同期比 +7.6%
消費者物価の民営家賃
すでに住んでいる部屋過去の契約の家賃を含む
都区部 前年同月比 +1.5〜1.7%
家賃は契約の途中ではめったに変わらないため、既存の家賃は遅れて動く

賃貸住宅の家賃は、契約の途中ではほとんど変わりません。上がるのは、入居者が入れ替わるときか、更新のときです。そのため、相場が上がる局面では「新しく借りる人の家賃」と「住み続けている人の家賃」の差が広がります。

ここからは、税理士・公認会計士として、また自らも不動産投資を行ってきた立場からの考えです。この差は、賃貸オーナーから見るとまだ賃料に反映されていない上昇余地と読むこともできます。一方で、入居者の家計の負担感は大きくなっており、強引な値上げは退去や空室につながります。

賃貸オーナーが生かせること

場面考え方
入居者の入れ替え募集家賃を相場に合わせて見直す。原状回復と設備の更新で、上げた家賃に見合う部屋にする
更新のとき周辺の募集家賃などの根拠を示して相談する。合意が前提で、入居が長く安定している入居者との関係も考える
物件を買うとき現在の賃料が相場より低い物件は、入れ替えで上がる余地がある。ただし、上がる前提で高く買わない
物件を売るとき実際の賃料が相場に近づいていれば、収益還元の評価が上がりやすい

増額の相談には、借地借家法の考え方を押さえておく必要があります。家賃を上げたときは、敷金や礼金、更新料の扱いも含めて帳簿に正しく反映させてください(家賃収入の計上時期、礼金・敷金・更新料の税務)。親族や自分の会社に貸している場合は、相場とかけ離れた家賃にしないことも大切です(同族会社と家賃の適正額)。

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銀行への説明に生かす

銀行は、賃料が上がっていることそのものより、実際に入居が続き、その賃料が入金されているかを見ます。融資の相談では、次のようにそろえておくと伝わりやすくなります。

  1. 部屋ごとの賃料と契約時期の一覧(レントロール)
  2. 入れ替えで賃料が上がった実績(いつ、いくらから、いくらへ)
  3. 公的な指数(今回の内閣府の指数など)と自分の物件の賃料の比較
  4. 空室が出た場合、金利が上がった場合の返済の試算

金利が上がる局面では、賃料の上昇が金利の上昇をどこまで吸収できるかが、物件の収支を左右します(不動産投資の金利上昇対策)。

今後も注意して見ていきたいこと

  • 7〜9月期の指数:11月中にも公表予定。都区部の伸び率が鈍るのか
  • 間取り別の差:シングル向けとファミリー向けで動きが分かれるか
  • 消費者物価の家賃:募集家賃に遅れて、どこまで上がるか
  • 金利との関係:家賃の上昇が、借入の金利の上昇に追いつくか

まとめ

  • 内閣府の新しい募集家賃指数で、2026年4〜6月期の東京都は前年同期比7.6%上昇
  • 同じ時期の都区部の消費者物価の民営家賃は1.5〜1.7%の上昇。既存の家賃は遅れて動く
  • 賃貸オーナーには、入れ替えと更新のときの賃料の見直しの根拠になる。ただし入居者の負担感にも配慮する
  • 銀行には、実績の賃料と、空室・金利上昇の試算をセットで示す

賃貸経営の収支の見直しや、物件の評価・融資の相談をしたい方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

募集家賃と消費者物価の家賃は、何が違うのですか?
募集家賃は、いま入居者を募集している部屋の家賃です。消費者物価の家賃は、すでに住んでいる人が払っている家賃で、過去に安い条件で契約した部屋も含まれます。そのため家賃が上がる局面では、消費者物価の家賃は実態より低く出やすく、募集家賃が先に動きます。
募集家賃が上がっているなら、今の入居者の家賃も上げられますか?
借地借家法では、周辺の家賃と比べて不相当になった場合などに、家賃の増額を求めることができます。ただし入居者が合意しなければ、最終的には調停や裁判で決まります。実務では、更新のタイミングで周辺の募集家賃などの根拠を示して相談するのが一般的です。入居者との関係や空室のリスクも考えて判断しましょう。
家賃が上がっていることは、融資に有利になりますか?
銀行は、物件の評価や返済の力を見るときに賃料を使います。実際の賃料が上がり、入居が続いていることを示せれば、収益還元による評価や返済の余力にプラスになります。ただし銀行は、相場がこの先も上がり続ける前提では見ません。実績の賃料と、空室が出たときの試算をそろえて説明することが大切です。

※本記事は2026年11月3日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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